初日の雨や風もさることながら、やはり森林限界を超えた、動植物の生命活動ができなくなる高所での洗礼が、私たちのメッキをどんどんと剥がして行ったのでした。
わがまま、弱音、あきらめ、いらだち、不安、絶望。
そういったネガティヴな要素が、次から次へと立ち現れます。
そういったネガティヴな要素が、次から次へと立ち現れます。
ポジティブな要素は、本当に強い心の底から表出してきます。
我慢、希望、不断の努力、友情、笑顔、ユーモア、畏敬の念。
真剣な表情の目の奥に、光が輝いているようです。
一歩間違えば命を危険に晒すかもしれない3700メートルの世界では、何も取り繕うことができなくなります。
そんな世界に挑んだ私たちには今回、東山荘ネイチャープログラムのスタッフ、そしてリーダーという強力な指導者がいました。
そして、一緒に挑戦を続けた仲間がいました。
山頂が近づくにつれて、傾斜がきつくなり、空気も薄くなり、小さな一歩で、まるで全力疾走したかのように息が上がります。
九合五尺。
胸突の坂に差し掛かると、息を荒げ、山頂に立つという強い願いと、スタッフ陣の絶対に山頂に連れて行くという執念が剥き出しになりました。
わずか200メートルの道のりは長く険しく、朦朧とした意識の中で、気力と体力を振り絞って足を前に出します。
山頂に着くと、大きな大きな噴火口が、ぽっかりと口を開けて、私たちを迎えてくれました。
山上で過ごす一時は、まるで時が止まったかのように静かでした。
山を降りるときも、富士山の大きさを体いっぱい感じながら降りてきました。
山を降りるときも、富士山の大きさを体いっぱい感じながら降りてきました。
ついに森林が生い茂る山道に再び入り込むと、これまで高揚していた私たちの心は静まり、誰1人、一言も喋ることなく、神秘の森を歩きました。
一度生命の住むことがほとんどできないサミットに立った私たちには、青々と茂った森は、もはや単なる森林ではありませんでした。
水、養分、営み、生成、光、そういったもの一つ一つが、特別で尊いものだと直感したのでした。
こうして、私たちの大きなチャレンジは終わりました。
一人ひとりの心の奥に、確かななにかが残ったことでしょう。
キャンプ最後の夜を、富士山での自分を振り返りながら過ごしています。
プログラムディレクター
阪田晃一
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