六甲山のキャンプ2日目の朝。
夜は肌寒いくらいの気候で、朝日が出ても優しい空気が漂います。
キャンプ場で初めての朝を迎えたキャンパーがたくさんいます。
今日の朝のお話はダンバー数、進化心理学のお話です。
− 人間はかつて森に住んでいました。私たちは森から出て移動するようになった。それはなぜだと思う?
「出たかったから!」
そうです。人間は好奇心によって森を出たと言われています。
森を出た私たちは体を進化させ、移動するようになります。そのおかげで、地球の乾燥化という気候変動を生き延びました。
私たちは森から出たことで、外敵から身を守る術を持たなければなりませんでした。そうして私たちは仲間と暮らす(共同体)ようになったのです。
しかし共同体で暮らすには、常に3つのコストがつきまといます。食べれるかどうかの直接的コスト、共同体を維持できるかどうかの間接的コスト、そして労せず便益を得るフリーライダーのためコストです。
− 人間は、何人くらいの仲間で暮らしていたと思う?
「10人?、5人?」
− もうちょっと多いよ。仲間と思える数だよ。
「150人!」
子どもたちの直感には、いつも驚かされます。
その通りで、ゲノム的には、私たちが仲間として一緒に暮らせるのは150名ほどが限界だと言われています。
なぜか?
私たちは生き残るために共同体を組んだが、共同体で暮らすためにはストレスがかかるからです。
キャンプは、特に入門キャンプでは、私たちはたくさんのシステムに囲まれています。
食べること、寝ること、暮らすこと、遊ぶこと。
それらのすべてがシステム化され、安全・便利・快適に過ごすことができます。
しかしそれらのシステムは、人間の力を奪います。
これまでずっと好奇心によって道を切り開き、仲間を守ることで生き延びてきた私たちにとって、システムはその力を奪う仕組みでもあるのです。
キャンパーたちにはこう伝えました。
「好奇心よって、我々は生き残った。キャンプでもたくさんやりたいことをしよう。
仲間を守ることで我々は生き残った。だからキャンプでもたくさんの仲間を助けて欲しい。」
六甲山上に集まった80名ほどの小集団は、原始的な単位で集い、自然の中での暮らしを体験しています。
この根源的な力が、社会を生き抜く力として、子どもたちに宿っていることを忘れてはいけません。