2021年8月8日日曜日

ダンバー数・仲間と暮らすこと、生きること〜六甲山のキャンプ2日目

六甲山のキャンプ2日目の朝。
夜は肌寒いくらいの気候で、朝日が出ても優しい空気が漂います。

キャンプ場で初めての朝を迎えたキャンパーがたくさんいます。
今日の朝のお話はダンバー数、進化心理学のお話です。

− 人間はかつて森に住んでいました。私たちは森から出て移動するようになった。それはなぜだと思う?

「出たかったから!」

そうです。人間は好奇心によって森を出たと言われています。
森を出た私たちは体を進化させ、移動するようになります。そのおかげで、地球の乾燥化という気候変動を生き延びました。

私たちは森から出たことで、外敵から身を守る術を持たなければなりませんでした。そうして私たちは仲間と暮らす(共同体)ようになったのです。
しかし共同体で暮らすには、常に3つのコストがつきまといます。食べれるかどうかの直接的コスト、共同体を維持できるかどうかの間接的コスト、そして労せず便益を得るフリーライダーのためコストです。

− 人間は、何人くらいの仲間で暮らしていたと思う?

「10人?、5人?」

− もうちょっと多いよ。仲間と思える数だよ。

「150人!」

子どもたちの直感には、いつも驚かされます。
その通りで、ゲノム的には、私たちが仲間として一緒に暮らせるのは150名ほどが限界だと言われています。

なぜか?
私たちは生き残るために共同体を組んだが、共同体で暮らすためにはストレスがかかるからです。

キャンプは、特に入門キャンプでは、私たちはたくさんのシステムに囲まれています。
食べること、寝ること、暮らすこと、遊ぶこと。
それらのすべてがシステム化され、安全・便利・快適に過ごすことができます。

しかしそれらのシステムは、人間の力を奪います。
これまでずっと好奇心によって道を切り開き、仲間を守ることで生き延びてきた私たちにとって、システムはその力を奪う仕組みでもあるのです。

キャンパーたちにはこう伝えました。

「好奇心よって、我々は生き残った。キャンプでもたくさんやりたいことをしよう。
 仲間を守ることで我々は生き残った。だからキャンプでもたくさんの仲間を助けて欲しい。」

六甲山上に集まった80名ほどの小集団は、原始的な単位で集い、自然の中での暮らしを体験しています。

この根源的な力が、社会を生き抜く力として、子どもたちに宿っていることを忘れてはいけません。

キャンプディレクター
阪田晃一

2021年8月7日土曜日

この世界が存在することの奇跡を直感する〜六甲山のキャンプスタート!

六甲山のキャンプがスタートしました。
こちらも「初めてのキャンプ」の子どもたちが参加してくれています。


台風予報から打って変わり、快晴の六甲山は少し汗ばむ暑さですが、街に比べると涼しく、活動しやすい気候です。

水風船を膨らませての水遊びに、まさに「はしゃぐ」子どもたちの姿は、この世界が存在することの奇跡を感じさせてくれます。


正しい世界の中で子どもたちは、生きることの素晴らしさを直観します。

保護者の皆さま、感染症の流行で混乱が続く中、ガイドラインへのご協力をはじめさまざまな準備を経てキャンプにご参加いただき、ありがとうございます。

私たちは感染症対策を始め、自分で判断しなければならないことが、実はたくさんあるのだと自覚しました。
キャンプで私たちが目指すのは、「システムではなく人の力に頼れる」人間を育成することです。
この1泊のキャンプを通過点に、次はもっと長いキャンプへと羽ばたいて欲しいと願っています。

サマーデイキャンプの子どもたちを見送ったキャンパーたちは、お風呂タイムです。
これから夜の時間がやってきます。
自然の中で夜を過ごすということは、これだけ街の生活に慣れきってしまった私たちには、それだけで大仕事のように思えます。

ヒグラシが鳴く夕暮れ、みんなで食べるご飯、火を囲んでのキャンプファイヤー。
それらの一つ一つが、キャンパーを待っています。

キャンプの夜を楽しみたいと思います。

キャンプディレクター
阪田 晃一


サマーキャンプというギフト〜サマーデイキャンプ六甲

サマーデイキャンプ六甲は、キャンプが初めての方を対象とした、キャンプ入門プログラムです。その名の通り、キャンプ中のデイタイム(朝ごはん後〜夕食前まで)の時間をキャンプ場で過ごします。3日間のデイキャンプは、気持ちにも身体にもゆとりをもたらします。 

初日は、緊張の中やってきた子どもたちも、2日目となればまるでキャンプの達人のように、動きがどんどん早く良くなっていきます。 昨日に比べて日差しが強かった今日は、カヌーに乗った後、「屋根を作りたい!」と、自分たちがご飯を食べるための日除けを作り始めました。
1日目にたった一度だけ見た屋根(タープ)を覚えていて、自分で立てると動き出したのです。

もちろん、まだまだ幼く、力も弱い子どもたちだけで屋根を貼ることができません。しかし何人かの子どもたちは直感的にその「凄さ」を肌で感じ、 自分たちの力で日除けを作ることができる「凄さ」に喜びます。



モチベーションさえあればなんでもできる子どもたちは、着替えもお弁当も、本当に驚くくらいのスピードで自分のことが自分でできるようになっていきます。

「夏休み」それはその響きだけで、なんでもできそうな気持ちになれる、魔法の時間です。
いま向き合っている六甲山の自然も、新型コロナウイルスも、そこで生きる人間も、同じ地球、宇宙に生きる何かです。
たくさんのギフトを受け取って大きくなって欲しいと思います。



保護者の皆さま、このような時期にキャンプに送り出していただき感謝いたします。
サマーデイキャンプは明日最終日です。
たくさん遊びましょう!

キャンプディレクター
阪田晃一