
遠征二日目
夜明けから少し経ってから出発、今日泊まる無人島まで2時間ほど漕ぎました。
昼前から風が少し吹く予報ということもあり、早めに移動して今日はここで過ごします。
いい雰囲気でキャンプが進んでいます
-ねえ、何読んでるの?
ピカソの本だよ。知ってる?画家の人だよ。
-うん、知ってる。そういえば前にリトリートセンターでゴッホの話してたよね?ゴッホって耳の話だよね。レンズから世界を見ていたんだよね?
よく覚えているね。そうだよ。確かにその話をしたね。ゴッホは他の人とは違うふうに世界が見えていた。普通の人に取ったら歪んだ世界。でもゴッホにとったら世界は歪んでいたんだよ。
-また話聞きたい!その本ちゃんと読んでね。
わかった。また明日話をするね。
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あるキャンパーとの会話です。おそらく今年の3月例会キャンプでの話です。子どもたちの記憶力はものすごいものがあります。
パブロ・ピカソは有名な画家ですが、とても繊細で実直な人でした。子どもの絵を模写したことは有名で、「わたしは子どもらしい絵を描いたことがなかった。子どものころからラファエロのような絵を描いていたからね。子どものような絵が描けるようになるまで一生かかったよ」という言葉を残しています。
子どもたちは、ほとんどの場合、幼ければ幼いほど、自己嫌悪に陥りません。だから自分の描きたいように絵を描く。ピカソもまた自己嫌悪を嫌う人でした。ピカソは自らが愛着を感じたものが最も価値のあることだと信じ、ある源泉から得た力を最大限使って、91歳になるまで絵を描き続けたのでした。
ピカソが目指したものは、子どものような心で、自分の目に映った世界を描くことでした。美しいとか醜いとかも関係なく、愛も憎しみも含めてすべて愛に貫かれた世界での出来事。常にみずみずしい心でこの世界を眺めることを、眺め続けられることを信じて疑わなかった人だったのでしょう。だから何も見えない時は「黒い絵を描け」とまで言ったのです。
評伝を読んでいると、言葉にとても気をつけた人であることもわかります。
他人の言葉を、書き、 尊重し再生することは難しい。 たとえ、誰かが口にした言葉をとらえ、 それをそのまま、一言一句変えずに 書いたとしても、まったく別のもの、 ときには正反対のものにさえ なってしまう。だから難しいのだ。
だから感性や感覚、自己嫌悪に関する言葉、死などは使うことすら避けていたようでした。
さて、僕たちもピカソの構えから多くを学ばなければなりません。YMCAキャンプに理論的ベースとなっている「真に民主的な」営みを信じたジョン・デューイも、それを受け継いだリチャード・ローティも、言葉が人々の実存に与える影響を考慮して、さまざまな文章を残してくれています。決して言葉に飲み込まれるなと。
子どもたちは今はもう寝ていて、明日にやってくる新しい(未規定な)世界を楽しみにしています。明日のスケジュールは一応決まっています。大人たちはピカソがそうしたように、子どもたちが見る新しい世界に遅れずに、それを少しでも損なわずに一緒に足を踏み入れ、「今日もまた良き1日である。僕たちは日に日に良い方向に進んでいる」と信じて疑わない子どものような世界を、共に見てほしいなと思います。
毎月1回の活動を続けているマンスリーデイキャンプメンバーとの特別キャンプは、余島で2泊3日の予定です。
また暑さがぶり返してきて、とてもとても暑い余島です。
余島に到着してすぐに着替えて海に入りました。
普段活動している仲間たちなので、みんな仲良しです。
夜はキャンプファイヤーをして楽しみました。
キャンプ1日目の様子です。
プログラムディレクター
阪田晃一
昨日の夜から雪が降り、昨日とは別世界が広がっています。冬に戻ったようなツーンとした寒い空気を肌に感じながら午前のスキー、ワッペンテストが始まりました!
今までたくさん滑ったことを思い出しながら、テストをしました!
午後は少し晴れ、山頂に行ったグループや少し斜面が急なところへチャレンジするグループもありました!
みんなの挑戦はずっと続きます!
夜には閉校式を行いました。
各グループでスキーを通して感じたことを話しました。
その後、それぞれのグループから1人ずつみんなに思ったことを話しました。
「スキー初めてやったけど、たくさん滑って楽しかった。リフトでうまく降りれなかったとき知らない人が助けてくれて嬉しかった。」
初めてスキーをして、小学1年生の子が感じた嬉しかったことです。
「冬のスキーの時は早く滑れなかったけど、たくさん滑ることができた」
冬のスキーキャンプで、この子は斜面をすごく怖がっていました。
「自分で滑る?それとも手伝おうか?」と、不安そうな顔を見て、声をかけると、
「自分で滑る。」と、たった一言を言い、見事に最後まで滑り切りました。
自分で決めて、最後までやり切る姿に心を打たれました。その子が今回自由にゲレンデを滑る姿には心の強さを感じました。
「自分のことをちゃんとできないと、誰かを助けることができないから、ちゃんとまず自分のことを頑張った。それが、ちょっとできたと思う。」
少し緊張し言葉を探しながら、話していました。こうありたいと強く思う気持ちを聞いているみんなは受け止めていました。
「あのな、はじめはA線(急斜面)で滑るんが、怖かっんやけど、阪田さんたちがいたから、安心して滑れた。ほかにもみんな優しかったから優しい3日間でした!」
いろんな優しさに包まれた時間だったことが伝わってきました。
一人一人のことを書くとキリがないほど、スキーを通して、人と一緒に生活することを通して、子どもたちはそれぞれにいろんな体験をしました。
そこには喧嘩して怒ったり、悔しくて泣いたり、思いっきりはしゃいだり、緊張したり、笑ったり、いろんな心の動きを感じました。
言葉でなかなか子どもたちは言い表すのが難しいかもしれません。
でも、確かにこのキャンプの中でたくさんのものを受け取り、たくさんのものを渡してきました。
この体験がどんな場所にいても、繋がっていくことを願っております。
今はバスの中で眠りについています。
最後まで仲間との時間を大切に過ごしていきたいと思います!