春の中高生スキーキャンプ、志賀高原は例年より雪は多く、スキー場らしい風景です。しかし暖かさも急にやってきたので、急速に雪が溶け出し、ゲレンデには春の風が吹いて、27日はリフトが途中で運行を停止していました。
スキー初日は、足慣らしのために、それぞれのレベルで午前中の雪、午後の雪を感じながら、うまく滑れるように苦心していました。ざらめの雪に足を取られながらも、みんな一生懸命滑っていました。まったくスキーが初めての二人も、リフトに乗って何本もゲレンデを滑り、「早く次の一本にいこう!」とひっきりなしに練習していました。
宿に帰ってくると、お風呂に入ってご飯を食べます。冬よりも暖かく生活しやすいです。雪山の一日の終わりは早いとはいえ、夕食の頃まで空はずっと明るく、陽の長さを体感しました。春がやってきています。しかし花粉症に苦しむ人が多くなっているのも感じます。植えるだけで放置した山林が放つ花粉が、大気も白く黄色くしているようです。
さて、夜の時間はゲスト講師の森本崇資さんを囲んで、なんでもトークの時間。スキーやカヤックなど、自然の中での活動を通して、これまでも今も多くの子どもたち、若者たちを育てている森本さんにみな興味津々です。その森本さんにはある「厳しさ」があります。一緒に遊んでいる子どもたちを怒ること、叱ること、許さないこと。今では遠い昔の出来事のように語られる「厳しい躾」が、森本さんにはあるのです。
森本さんはこう言いました。「僕は子どもは、小学校3、4年生くらいまでは『自然の一部』だと思っている」。自然の本質は美しさです。「自己効力感」が大事だと言ったラルフ・ウォルト・エマソンによれば、その自然の美しさは、神の御業(みわざ)としか思えない、圧倒的な事実。その事実をうちに感じる力がある。つまり美しさを美しいと感じる力がある。そしてその力が自分には必ず湧き起こるという自信。それが「自己効力感」です。
キャンパーたちは、「リベラルとは何か?」、「不安を解消するためにはどうしたらいいか」、「厳しさとは何か」と次から次へと質問のための言葉を繰り出します。でもそのほとんどが誰かに、学校に、社会に植え付けられた言葉。だから力が湧いてこないのです。エマソンを継いだジョン・デューイは「火」を見た時に人々がどんな言葉を使うのかを考察してこう言います。「火を見てどんな言葉をあてがうかは自由なのだ。それは優しさの火かもしれないし、祖先を思う火かもしれない。心に灯す火かもしれない」。
実はスキーも言葉です。教科書に書かれた言葉で教え込まれます。でもスキーは体験です。雪の中をあるスピードを保ったまま滑降していく。それはまさに体験なのです。だから特に中高生たちは、言葉に打ち勝ってほしいと思います。
キャンプディレクター 阪田晃一
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